それでは、ここでは実際に行動文章のサンプルを見て、色々と学んでみましょう。
例えば、この様なオープニング文章があったとします。
『図書館の白き悪魔』
「さ、寒い……」
フランは図書館に入って、まず真っ先にそう言った。外は雪が降っていて、中に入れば暖かいと信じていたので、中が凍るように寒かったことがショックだった。
きょろきょろとあたりを見回すと、同じように困惑している生徒が数名見受けられた。
「暖房が壊れているのであるかな」
イルが羽を広げて、そう言う。
中は薄暗い。奥の方は、人気もなさそうだった。
「今日は、休館日でしたのかしら」
扉のほうを振り返ると、また、人が入ってきて、同じように困惑している。休館日なら、扉には鍵がかかっていそうなものだが……
「寒い……」
フランは、自分の体を抱えた。雪に当たったせいで体が冷えたのか……いや、寒気がしたのだ。
なんだか、奥の方からこの冷気は流れてくるような気がした。
「何か、音がしない……?」
誰かの声に耳を澄ますと、しゅごーしゅごー……と風の抜ける音がするような気がする。
「なんでしょう、この音……」
そのとき、もこもこに厚着をしたマリーがよろけるように階段を降りてきた。
「だ、だめ……助けて……あれを……誰か止めて……」
そして、マリーは、どさりと絨毯の上に倒れ伏した。
「マリーさんっ」
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